ミュゼプラチナム、破産へ - 長年の実績、オーナー、そして何が起きてしまったのか？救済の道は？

大手脱毛サロンチェーン「ミュゼプラチナム」が、現在、破産という危機に瀕しています。2025年5月、複数の報道機関によって、同社を運営する株式会社MPHに対し、債権者である従業員らが破産手続きの申し立てを準備していることが報じられました。かつては業界を牽引し、多くの顧客に支持されてきたミュゼプラチナムに一体何が起こっているのでしょうか。その歴史と実績を振り返りながら、現状、原因、そして救済の可能性を探ります。

ミュゼプラチナムの歴史と実績

ミュゼプラチナムは、2003年に株式会社ジンコーポレーション（現：株式会社ミュゼプラチナム）によって設立されました。当初は小さな脱毛サロンとしてスタートしましたが、リーズナブルな価格設定と積極的な広告戦略により、急速に店舗数を拡大。2010年代には、全国に100店舗以上を展開する大手サロンチェーンへと成長しました。

ミュゼプラチナムは、顧客満足度を重視する姿勢を打ち出し、「両ワキ+Vライン美容脱毛完了コース」などの人気メニューを提供。著名なタレントをイメージキャラクターに起用したCMなども積極的に展開し、幅広い年齢層の女性からの支持を獲得しました。最盛期には、会員数は300万人を超えるほどに成長し、脱毛サロン業界のリーディングカンパニーとしての地位を確立していました。

また、ミュゼプラチナムは、脱毛サービスだけでなく、化粧品や美容関連商品の開発・販売も手掛けるなど、多角的な事業展開を行っていました。

主な経営者

ミュゼプラチナムの創業者であり、長年にわたり経営を牽引してきたのは、高橋仁氏です。高橋氏は、独自の経営手腕でミュゼプラチナムを一代で築き上げ、美容業界で大きな成功を収めました。しかし、2024年の事業譲渡に伴い、経営体制は大きく変化しています。現在、株式会社MPHの経営陣については、公には詳細な情報が開示されていません。

輝かしい実績の陰で

かつては業界のトップランナーとして数々の実績を誇ってきたミュゼプラチナムですが、近年、経営状況には陰りが見え始めていました。競合他社の台頭や、消費者ニーズの変化への対応の遅れなどが指摘されています。そして、2024年の事業譲渡とそれに伴う経営体制の変更が、今回の破産危機に繋がってしまったと考えられます。

現在起きていること

• 債権者による破産申し立て準備: ミュゼプラチナムの従業員を含む債権者らが、未払い賃金などを理由にMPHへの破産申し立てを準備しています。
• 事業譲渡後の新会社: ミュゼプラチナムは、2024年9月に旧運営会社から事業譲渡を受け、株式会社MPHとして新たにスタートを切りました。
• 資金調達の難航と未消化サービスの存在: 新会社は関連会社からの資金調達を試みましたが難航し、多くの顧客に対して未消化のサービスが残っている状態です。
• 顧客からの返金要求と従業員の給与遅延: 未消化サービスを抱える顧客からの返金要求が相次ぎ、従業員の給与遅延も深刻化しています。
• 経営権を巡る混乱と全店舗の休業: 経営体制を巡る内部対立も表面化し、2025年3月には全国約170店舗（2024年12月時点）の全店舗が一時休業となりました。
• 従業員数と未払い賃金: ミュゼプラチナム側の発表によると、2025年3月末時点で2,025名の従業員が在籍しており、未払い賃金の総額は約15億円に上るとされています。

破産の原因

ミュゼプラチナムがこのような状況に陥った原因は複合的であると考えられます。

• 事業譲渡と経営体制の移行の失敗: 高橋氏から新経営陣へのスムーズな移行ができなかったことが、混乱を招いた可能性があります。
• 資金繰りの悪化: 十分な資金を確保できなかったことが、サービス提供や従業員への支払いの遅延につながりました。
• 顧客からの信頼失墜: 店舗休業や返金対応の遅れにより、顧客からの信頼を大きく損ねたことが、さらなる経営悪化を招いたと考えられます。
• 競合の激化: 近年、低価格帯の脱毛サロンや医療脱毛クリニックが増加し、競争が激化していることも影響しているかもしれません。
• 内部統制の問題: 経営体制の混乱や従業員の給与遅延などから、内部統制に問題があった可能性も指摘されています。

救済の可能性

現時点では、ミュゼプラチナムが破産を回避し、事業を継続できるかどうかは不透明な状況です。しかし、いくつかの救済の可能性も考えられます。

• 新たなスポンサーの出現: 他の企業や投資家がミュゼプラチナムのブランド力や顧客基盤に魅力を感じ、資金援助を行う可能性があります。
• 大規模なリストラと事業再編: 不採算店舗の閉鎖や人員削減など、徹底的なコスト削減と事業の再構築を行うことで、経営状況が改善するかもしれません。
• 債権者との合意: 債権者との間で債務の減免や支払い猶予などの合意が得られれば、破産を回避できる可能性があります。
• 法的手続きによる再建: 民事再生法などの法的手続きを利用し、法的保護の下で事業の再建を目指す道もあります。

かつて業界をリードしてきたミュゼプラチナムが、このような危機的状況に陥ってしまったことは非常に残念です。多くの顧客や従業員のことを考えると、何らかの形で事業が継続されることを願うばかりです。今後の動向に注目が集まります。